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＼作品の魅力ガイド／
〈この作品を一言で表すと〉
「狂気」を浴び、「異常」を楽しみ、「嘘」に驚愕せよ。
〈こんな人におすすめ〉
〈この作品が投げかける「問い」〉
「真実の愛とは何か」に悩む時、この物語は「常識的な愛」の定義がいかに脆く、無意味であるかをあなたに問いかけてくるでしょう。
8年ぶりの再会。かつて同じ誘拐事件の被害者だった、“みーくん”と“まーちゃん”。
あなたはこれを、「傷を共有した二人が、過去を乗り越え愛を育む物語」だと想像するかもしれません。
ですが、待ってください。
なぜ、彼女の部屋には、今まさに世間を騒がせている「誘拐された別の兄妹」が監禁されているのでしょうか？
これは感動の再会劇などではありません。むしろその正反対です。
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』は、あなたの「常識」や「正義感」さえも揺さぶる、狂気と愛が絡み合ったダークミステリなのです。
主人公の口から溢れる「嘘」に翻弄され、ヒロインの異常性に引き込まれながら、あなたは物語を貪るように読み進めることになるでしょう。
そして読み終えた時、気付くのです。あなたが信じていた「現実」そのものが、作者が仕掛けた叙述トリックの罠だったと。
「人を選ぶ作品」と言われる所以は、その恐ろしくも美しい構造にあります。
独特な文体、容赦ないグロ描写、狂気的なキャラクター、そして何より――あなたが「正しい」と信じていたものすべてが反転する瞬間。
この記事では、以下の内容を通じて、その全貌をネタバレなしで解き明かします。
あなたの「正常」は、ここから先、保証されません。
深淵に触れる覚悟ができた方だけ、どうぞこの“歪な愛の物語”を覗き込んでください。
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核心ネタバレなし！『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』1巻のあらすじ
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』は、一体どんな物語なのでしょうか。
このセクションでは、物語の核心に触れるネタバレを避けつつ、第1巻のあらすじを紹介します。
8年ぶりに再会した「みーくん」と「まーちゃん」。しかし、その再会は平穏なものではありませんでした。
彼女が起こした「現在の」誘拐事件とは？ そして「嘘つき」な彼の目的とは何か。
物語の導入と、不穏な世界の幕開けを解説します。
物語の舞台：2つの事件が交錯する不穏な田舎町
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』の物語は、一見するとどこにでもありそうな、平穏な田舎町で幕を開けます。
しかし、その日常の水面下では、二つの凶悪な事件が同時進行しています。
一つは、世間を震撼させている「連続殺人事件」。そしてもう一つが、「小学生兄妹の誘拐事件」です。
テレビニュースが連日この異常事態を報じ、町は静かな狂気と不穏な空気に包まれています。
この「平穏な日常」と、そのすぐ裏側にある「猟奇的な非日常」との強烈なコントラストが、本作のサイコサスペンスとしての雰囲気を決定づけています。
読者は、この歪んだ町で、物語の語り手である「僕」の視点を通じて、さらに根深い闇へと引きずり込まれることになります。
それは、8年前にこの町で起きた、別の「誘拐事件」の忌わしい記憶です。
現在起きている二つの事件は、本当に無関係なのでしょうか。
それとも、8年前のトラウマが、新たな悲劇の引き金となっているのでしょうか。
複数の事件が交錯し、過去と現在が複雑に絡み合う緻密なプロットが、読者の好奇心と恐怖を強く刺激します。
8年ぶりの再会：「みーくん」と「まーちゃん」
物語は、主人公の「僕」が、同じ高校のクラスメイトでありながら長らく疎遠になっていた少女、「御園マユ」――通称「まーちゃん」――の部屋を訪れる場面から始まります。
それは一般的な再会とは程遠く、彼は半ば不法侵入に近い形で彼女の前に姿を現します。
彼が「まーちゃん？」と呼びかけると、彼女は涙を流して彼を「みーくん？」と呼び返す。
この8年ぶりの再会は、決して甘酸っぱい青春の1ページではありません。
二人は、8年前にこの町で起きた凄惨な誘拐事件の「被害者同士」という、重く暗い過去を共有していたのです。
その事件によって心に深い傷を負い、「壊れて」しまったまーちゃん。
そして、彼女を守るためなのか、あるいは別の目的なのか、自らを「嘘つき」として振る舞う「僕」。
彼らの再会は、止っていたはずの過去の歯車と、現在進行形の新たな事件の歯車を、同時に、そして不協和音を立てながら動かし始めます。
この歪んだ形でしか結ばれず、互いを必要とする二人の関係性こそが、本作の「ダークラブコメ」あるいは「共依存」と評される、危険な魅力の核心となっています。
「壊れたまーちゃん」が起こした「現在の」誘拐事件
8年ぶりに「みーくん」と再会した「まーちゃん」こと御園マユ。しかし、「僕」が彼女の部屋で目にしたのは、信じがたい光景でした。
そこには、今まさに町を騒がせている「小学生兄妹誘拐事件」の被害者である、二人の子供が監禁されていたのです。
かつての誘拐「被害者」であるまーちゃんが、今度は「誘拐する側（加害者）」になっている。
この事実は、物語の序盤における最大の衝撃であり、彼女の「壊れ」具合を読者に強烈に印象付けます。
彼女はなぜ、かつて自分が受けたのと同じ苦しみを、他者に与えるような行為に及んだのか。
「僕」が問いかけても、彼女の言動は常軌を逸しており、その真意を掴むことはできません。
常識が一切通用しない「狂気的な言動」や、みーくん（僕）への異常な執着（ヤンデレ）。
これこそが、本作を単なるミステリではなく、強烈な「サイコサスペンス」たらしめている最大の要因です。
「被害者が加害者になる」という重いテーマの連鎖が、読者の倫理観を根本から揺さぶります。
「嘘つきみーくん」の歪な献身と目的
愛するまーちゃんが、誘拐事件の犯人である――。
その絶望的な状況を前にした主人公「僕」の行動も、常識から大きく逸脱しています。
彼はまーちゃんを警察に通報するでもなく、強く非難するのでもありません。
あろうことか、彼は彼女の「共犯者」となることを選び、誘拐された兄妹と共に、奇妙な「共同生活」を始めてしまうのです。
彼はなぜ、そこまでして「壊れた」彼女を守ろうとするのでしょうか。
その行動原理こそが、物語の核心に迫る大きな謎の一つです。
彼は自らを「嘘つき」と称し、物語の語り（地の文）の至るところで「嘘だけど」という言葉を差し込みます。
彼の言葉のどこまでが真実で、どこからが嘘なのか。
読者は、この「信頼できない語り手」である「僕」の視点を通してしか、この異常な状況を把握することができません。
まーちゃんに向けられる歪んだ献身と愛情。
そして、その裏に巧妙に隠された彼の本当の「目的」。
それらが幾重にも重なり、本作のミステリを一層深く、一筋縄ではいかないものにしています。
サブタイトル「幸せの背景は不幸」の意味とは？
本作の第1巻には、「幸せの背景は不幸」という、非常に象徴的なサブタイトルが付けられています。
これは単なる飾りではなく、作品全体を貫く哲学的なテーマそのものです。
8年前の誘拐事件という、想像を絶する「不幸」を経験したみーくんとまーちゃん。
彼らが送る現在は、客観的に見れば決して「幸福」とは呼べない状況にあります。
まーちゃんは心に深い傷（PTSD）を負い、「壊れた」まま。僕は「嘘」で自分を塗り固め、彼女の犯罪に加担している。
しかし、レビューでも、
「壊れた二人が不幸ながらも互いを想い合い笑えるのなら、それも幸せなのかなあ」
と評されるように、彼らには彼らだけの「幸せ」の形が存在します。
傍から見ればどれほど不幸で歪んでいても、本人たちがそれを「幸せ」と認識するならば、それは幸福ではないのか。
このサブタイトルは、幸福と不幸が常に表裏一体であるという現実と、
「”普通”とは何か」「”幸せ”とは何か」
という根源的な問いを、読者に容赦なく突きつけます。
この重いテーマこそが、本作が単なるサイコサスペンスや猟奇ミステリに留まらない、深い余韻と中毒性を持つ理由です。
なぜ『みーまー』は「人を選ぶ」と言われる？5つの理由を徹底解説
『みーまー』が「傑作」と呼ばれる一方、同時に「人を選ぶ」と強く言われるのはなぜでしょうか。
それは、本作が読者の倫理観や常識を揺さぶる、非常に「尖った」要素で構成されているからです。
このセクションでは、その具体的な理由を5つに分けて徹底解説します。
賛否が激しく分かれる「独特すぎる文体」から、ヒロインの「狂気的な言動」、そして容赦のない「グロテスクな描写」まで。
あなたが本作に「合う」読者なのか、その判断材料にしてください。
理由1：賛否が分かれる「独特すぎる文体」と会話劇
『みーまー』を手に取った読者が、最初にして最大の「ふるい」にかけられるポイント。
それが、入間人間先生の「独特すぎる文体」です。
本作の文章は、一般的な小説の地の文とは一線を画します。
主人公「僕」の視点で語られる物語は、頻繁に脱線し、言葉遊びやブラックユーモア、シニカルな独白が（時に冗長とさえ思えるほど）差し込まれます。
このスタイルは「癖が強い」「読みにくい」「目が滑る」と評されることが多く、読者の好みを激しく二分します。
特に、シリアスな場面や猟奇的な事件の最中でも、登場人物たちが繰り広げる「漫才調の掛け合い」は特徴的です。
この軽妙な会話劇が、
「陰鬱な物語とのバランスが良い」
「中毒性がある」
と感じる読者がいる一方で、
「ふざけているようで物語に入り込めない」
「稚拙に感じる」
という読者も少なくありません。
レビューで「西尾維新」や「戯言シリーズ」との類似性が多数指摘される通り。
この独特の「入間節」とも言える文体とノリが、あなた自身の感性と「肌に合うか」どうかが、本作を楽しめるか否かの最初の関門となります。
理由2：狂気的なヒロイン「御園マユ」の言動（ヤンデレ）
本作が「人を選ぶ」と言われる二つ目の、そして極めて決定的な理由は、ヒロインである「御園マユ（まーちゃん）」の常軌を逸した言動にあります。
彼女は、8年前のトラウマによって「壊れて」しまった、ただか弱いだけの少女ではありません。
物語の冒頭、彼女は現在進行形で「小学生兄妹の誘拐犯」として登場します。
この倫理観を揺さぶる設定が、まず読者を試します。
彼女の「みーくん（僕）」への執着は凄まじく、その言動は「ヤンデレ」「病みキャラ」として強く認識されています。
彼女の行動原理は「みーくん」への愛のみであり、そのためなら平気で他者を（時には「僕」自身さえも）傷つけようとします。
この「美少女と狂気と凶器」の組み合わせは、一部の読者には、
「めんどくさかわいい」
「愛らしさと表裏一体」
として強烈な魅力に映ります。
しかし、その常識の通じない狂気的な言動は、多くの読者にとって強烈な拒否反応の原因ともなり得る、まさに「人を選ぶ」キャラクター造形と言えるでしょう。
理由3：容赦のない「グロテスクな描写」と暗い世界観
ライトノベルというレーベルと、イラストレーター「左」氏による儚げで美しい表紙イラスト。
これらから想像されるイメージは、読み進めるとすぐに裏切られます。
本作は、レビューで「ラノベにしては黒すぎる」「全然ライトではなかった」と評される通り、非常に「暗い世界観」で満たされています。
「連続殺人」や「誘拐・監禁」といったハードな事件を真正面から扱っており、その描写には一切の容赦がありません。
特に、読者の間で賛否が分かれるのが「グロテスクな描写」です。
直接的な暴力、流血、あるいは精神的な苦痛を生々しく描く場面が随所に登場します。
物語の根幹に関わる8年前の事件の真相も、凄惨を極めます。
第1巻はシリーズの中では「まださほどでもない」という意見もありますが、それでも一般的なライトノベルの読者が期待するであろう「読みやすさ」や「爽快感」とは対極にあります。
この陰鬱で救いのない世界観と、時折差し込まれる生々しい「グロ描写」への耐性がなければ、本作を読み通すのは困難かもしれません。
もし、本作のような暗く陰鬱な世界観や「鬱小説」としての側面に興味を持ちつつも、もう少し文学的な深みや切なさを求めているのであれば、冒頭で結末（死）が提示される倒叙ミステリの名作『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』もおすすめです。
理由4：8年前の「過去の誘拐事件」が落とすトラウマ
本作の登場人物たちの「狂気」や「異常性」は、単なるキャラクター設定として存在するわけではありません。
その根源には、8年前に彼らが経験した「過去の誘拐・監禁事件」による、深刻な精神的ダメージがあります。
物語は、この「トラウマ（PTSD）」という重いテーマを深く掘り下げます。
特にヒロインのまーちゃんは、過去の記憶が蘇る「フラッシュバック」によって奇声を上げたり、自らを傷つける「自傷行為」に及んだりします。
物語の根幹には、登場人物たちの「PTSD（心的外傷後ストレス障害）」が重く横たわっています。
これは、生半可な覚悟で触れられるテーマではありません。
なぜ彼らは「壊れて」しまったのか。なぜ「被害者」が「加害者」になってしまうのか。
その連鎖の描写は非常に痛々しく、読者の心を強く揺さぶります。
明るい物語や、キャラクターが困難を乗り越えて綺麗に成長する物語を求めている読者にとって、このどうしようもない過去のトラウマと向き合い続ける物語は、重すぎる「劇薬」となる可能性があります。
理由5：全編に漂う「サイコサスペンス」の空気
ここまでに挙げた、
「文体」
「狂気的なキャラ」
「グロ描写」
「トラウマ」
という4つの要素が組み合わさった結果、本作には「全編に渡って不穏で猟奇的な空気」が漂っています。
ジャンルとしては、単なるミステリやラブコメではなく、「サイコサスペンス」あるいは「サイコスリラー」と呼ぶのが最もふさわしいでしょう。
登場人物たちの軽妙な会話劇や言葉遊び（入間節）は、その陰鬱な空気の中で行われるからこそ、かえって不気味さや「奇妙な雰囲気」を際立たせています。
読者は常に「何かがおかしい」という違和感や、いつ破滅が訪れるか分からない緊張感を抱えたまま、物語を読み進めることになります。
この「日常と非日常」が歪に混ざり合った独特の空気感は、一部の読者にとっては「中毒性がある」魅力となります。
しかし、常に心のどこかが落ち着かないような、不安を煽るこの雰囲気が「肌に合わない」と感じる読者も多く、これが『みーまー』が「人を選ぶ」と言われる最後の決定的な理由となっています。
『みーまー』最大の魅力：「信頼できない語り手」と叙述トリック
『みーまー』が「傑作」と呼ばれる最大の魅力。
それは、「信頼できない語り手」によって構築された、巧妙な「叙述トリック」そのものです。
この物語は、読者であるあなた自身に仕掛けられた「挑戦」でもあります。
ここでは、有名な口癖「嘘だけど」に隠された仕掛けや、読者の前提を覆す「どんでん返し」の見どころ、そして再読で光る伏線の楽しみ方まで、その核心的な魅力をネタバレなしで解説します。
主人公の口癖「嘘だけど」に隠された仕掛け
『みーまー』の語り部である「僕」は、自らを「嘘つき」と称し、その言葉通り、モノローグの節々に「嘘だけど」という口癖を差し込みます。
読者は最初、この言葉を単なる主人公のひねくれた性格や、照れ隠しのようなものだと感じるかもしれません。
しかし、この「嘘だけど」こそが、作者が入念に仕掛けた罠の引き金です。
この一言が繰り返されるたび、読者は「今、彼は何について嘘をついたのか？」と疑心暗鬼になります。
直前の言葉か、感情か、それとも出来事そのものか。
この口癖は、読者を意図的に混乱させ、語り手（僕）の言葉の信頼性を根本から揺さぶります。
読者が「どの発言が嘘なのか」という小さな謎解きに集中させられている間に、作者はもっと大きな、物語の根幹に関わる「嘘」を隠蔽します。
「嘘だけど」という口癖は、読者の注意を惹きつける「囮（おとり）」であり、最大の嘘から目を逸らさせるための巧妙な仕掛けなのです。
この仕掛けにより、読者は常に不安と緊張感を抱えたまま、主人公の「嘘」に翻弄され続けることになります。
「信頼できない語り手」がもたらす読書体験
本作の主人公「僕」は、ミステリの手法でいう「信頼できない語り手（Unreliable Narrator）」に該当します。
物語の全ては彼のフィルターを通して語られるため、読者は彼が提示する情報だけを頼りに真実を探しなくてはなりません。
しかし、その語り手自身が「嘘つき」であると公言しているため、読者の足場は常に不安定です。
彼が語るまーちゃんの「狂気」は、本当に彼女のものなのか。彼が説明する事件の状況は、客観的な事実なのか。
読者は「彼を信じて物語に没入する」のではなく、「彼を疑いながら真実を推理する」という、非常に能動的な読書体験を要求されます。
ある読者が、
「雑な読み方をしていたので混乱した」
と語るように、この作品はぼんやりと読み進めることを許してくれません。
常に「語られていることは、真実か？」と問い続けなくてはならず、その感覚は「頭がおかしくなりそう」なほどの緊張感を伴います。
この「語り手vs読者」という知的なゲームこそが、「信頼できない語り手」という手法がもたらす、本作ならではの稀有な読書体験です。
真相に驚愕！本作の「叙述トリック」はどこが凄いのか？
『みーまー』がミステリとして高く評価される理由は、その巧妙かつ大胆な「叙述トリック」にあります。
叙述トリックとは、文章の書き方や語り手の視点を利用して、読者を意図的に誤った認識へと導くミステリの手法です。
本作は、この手法をライトノベルという媒体で、非常に効果的に使用しています。
本作の叙述トリックが凄いのは、読者の「思い込み」を巧みに利用し、物語の根幹（＝語り手の正体）を覆す点にあります。
多くの読者は、
①「語り手（僕）＝みーくん」であり、②「タイトルである『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』は、この二人の関係性を指す」
という前提を持って読み進めます。
しかし、物語の終盤、この読者が疑いもしなかった「大前提」そのものが覆されます。
作者は、「嘘つき」な語り手の言葉を巧みに操り、読者の視界を限定させ、意図的に情報を隠蔽します。
読者はまんまと騙され、最後に真相が明かされた時、「やられた！」「まさかそこが嘘だったとは」という強烈な驚きを体験することになります。
この「騙された感覚の素晴らしさ」こそが、本作の叙述トリックの真骨頂です。
読者の前提を覆す「どんでん返し」の見どころ
本作の「どんでん返し」は、物語の結末で犯人が判明するといった単純なものではありません。
それは、読者が積み上げてきた物語の「全て」を根底から覆す、大規模なものです。
最大の見どころは、やはり「登場人物の正体」が明かされる瞬間でしょう。
「嘘つきみーくん」とは誰だったのか。「壊れたまーちゃん」とはどういう存在だったのか。
そして、この物語を語っていた「僕」は、一体何者だったのか。
これらの答えが明かされた時、読者はタイトルの「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」という言葉の「本当の意味」に気づき、戦慄することになります。
さらに、このどんでん返しは「現在の事件」の真相だけでなく、二人の関係性の基盤である「8年前の誘D拐事件の真相」をも、まったく異なる姿に変貌させます。
読者が「こうだろう」と予想していた全ての前提が崩れ落ちる快感。
それこそが、本作の「どんでん返し」が「見事だ」と評される理由です。
再読でさらに面白い！伏線と「読み方のコツ」
『みーまー』は、一度読んで「騙された」後、再読することで面白さが倍増する作品です。
真相を知った上で読み返すと、初読では気にも留めなかった主人公「僕」の些細な独白、まーちゃんとの会話の「ズレ」、あるいは何気ない風景描写の全てが、巧妙に仕掛けられた「伏線」であったことに気づかされます。
ある読者は「再読するときちんと伏線が張られていた」と、その構成の緻密さに改めて驚いています。
すべての「嘘」と「狂気」には、理由があったのです。
では、これから初めて読む人は、どう読めばよいのでしょうか。
「読み方のコツ」は、あえて「騙される」覚悟で読むことです。
主人公の「嘘だけど」という言葉に一喜一憂し、彼の視点にどっぷりと浸かってください。
無理に「嘘」を見破ろうとするのではなく、語り手に身を委ね、物語に翻弄されること。
それこそが、本作の叙述トリックという「悪夢」を、最高のエンターテイメントとして楽しむための鍵となります。
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物語を彩る主要登場人物（ネタバレなし）
『みーまー』の歪な世界観は、一筋縄ではいかない「壊れた」キャラクターたちによって形作られています。
彼らは皆、一般的な常識や倫理観からどこかズレているのが特徴です。
このセクションでは、物語の中心となる主要人物たちを紹介します。
「嘘つき」な語り手である“僕”、そしてタイトルにもなっている「壊れた」ヒロイン“御園マユ”。
さらに、事件に関わる生徒会長や大人たちまで、ネタバレを避けてその人物像に迫ります。
僕（みーくん？）：嘘つきな語り手
この物語の語り部であり、主人公。それが「僕」です。
彼は自らを「嘘つき」と公言し、その象徴として、作中のモノローグ（地の文）の至るところで「嘘だけど」という口癖を差し込みます。
この「嘘だけど」は、単なる照れ隠しやひねくれた性格の表れではありません。
これは、読者の認識を揺さぶるための重要な仕掛けです。
この一言により、読者は「今のは本当か？」「何を隠しているんだ？」と、常に語り手である「僕」の言葉を疑いながら読み進めることになります。
彼は8年ぶりに「まーちゃん」の前に現れ、彼女の「みーくん」として振る舞います。
彼女が起こした「現在の」誘拐事件を知りながら、彼は彼女を告発するどころか、その「共犯者」となり、彼女を守るかのように奇妙な共同生活を始めます。
彼の語り口は、独特の言葉遊びやシニカルな冗談（「入間節」と呼ばれるもの）に満ちていますが、その軽薄さとは裏腹に、時折、
「切なさやいとしさがにじむ」
と読者が指摘するように、まーちゃんに向ける歪んだ献身や、彼自身の痛々しさが垣間見えます。
彼はなぜ嘘をつき続けるのか。彼がまーちゃんを守る本当の目的は何なのか。
彼自身が、この物語における「信頼できない語り手」であり、最大の謎の一つとなっています。
御園マユ（まーちゃん）：壊れたヒロイン
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』というタイトルの「壊れた」側を担うのが、ヒロインの御園マユ（みその まゆ）、通称「まーちゃん」です。
彼女は「聡明で、とても美人さん」ですが、その内面は8年前の凄惨な誘拐・監禁事件によって、深刻なトラウマ（PTSD）を抱え、文字通り「壊れて」います。
彼女の「壊れ」具合は、比喩ではありません。
過去の記憶が蘇るフラッシュバックに苛まれ、自らを傷つける行為に及ぶこともあります。
そして、彼女の最大の特徴は、「みーくん（僕）」に対する常軌を逸した執着と依存です。
彼女の世界は「みーくん」ただ一人を中心に回っており、彼のためなら他のすべてを切り捨て、時には暴力さえも躊躇いといません。
この姿は、多くの読者から「ヤンデレ」「病みキャラ」の象徴として強く認識されています。
物語冒頭で「現在の」誘拐事件の犯人であるという衝撃的な事実は、彼女の倫理観が「壊れて」いることを明確に示しています。
「美少女と狂気と凶器の組み合わせ」という読者レビューが、彼女の本質を的確に表していると言えるでしょう。
菅原道真：完璧すぎる生徒会長
「僕」と「まーちゃん」が通う高校には、不自然なほど「完璧」な人物が存在します。それが、生徒会長の菅原道真（すがわら みちざね）です。
とあるブログ記事で、
「校長が藤原基経で生徒会長が菅原道真」
と紹介されているように、彼は平安貴族と同じ名前を持つ、秀才かつ非の打ち所がない人物として描かれます。
物語の序盤において、彼の出番は多くありません。
しかし、彼の存在は、「壊れた」主人公たちとは真逆の、「正常」で「完璧」な世界の象徴として機能しています。
「嘘つき」で社会からズレている「僕」や、トラウマで「壊れた」まーちゃんとは対極に位置する「完璧すぎる生徒会長」。
この異常な状況が続く町において、彼のような「普通」の人間がどのように物語に関わってくるのか。
核心的なネタバレになるため詳細は伏せますが、彼が単なる背景キャラクターではなく、物語の根幹、特に8年前の事件と深く関わる超重要人物であることだけは間違いありません。
坂下恋日：まーちゃんの主治医
坂下恋日（さかした こいび）は、まーちゃんの主治医を務める精神科医です。
彼女は、8年前の事件で「壊れて」しまったまーちゃんの心を治療しようと試みる、数少ない「まともな」大人として登場します。
彼女の役割は、まーちゃんのPTSDと向き合い、彼女を「正常」な状態に戻そうとすることです。
しかし、その治療は難航します。
なぜなら、まーちゃん自身が「みーくん」という存在に依存し、過去のトラウマと向き合うことを拒絶しているからです。
また、彼女は「僕」とも深く関わります。
読者レビューで、
「先生と嘘つきみーくんの会話が心にきた」
とあるように、「僕」の「嘘」や言葉遊びを見抜きながらも、彼らの「歪んだ幸せ」の形を前に、
「本当の治療とは何か」
「”正常”に戻すことが彼女の”幸福”なのか」
という専門家としてのジレンマに苦悩します。
彼女の存在は、物語の「サイコサスペンス」な側面に、「幸福とは何か」という哲学的な深みを与える重要な役割を担っています。
上社奈月：事件を追う女刑事
上社奈月（かみやしろ なつき）は、現在進行形の「連続殺人事件」と「小学生兄妹誘拐事件」を追う、管轄の女刑事です。
彼女はまーちゃんの主治医である坂下恋日とは高校時代の同級生であり、その縁もあって「僕」と「まーちゃん」に関わってきます。
奈月の魅力は、その独特なキャラクター性にあります。
彼女は刑事というシリアスな立場でありながら、「僕」の「嘘」やひねくれた言動に対して、真正面から「漫才調の掛け合い」や「言葉遊び」で応戦します。
読者レビューでも、
「奈月さんと主人公の、出鱈目で膨大な言葉を使うだけで中身は空っぽの掛け合いが狂おしいほど好き」
と評されるほど、二人の会話シーンは本作の大きな見どころの一つです。
この軽妙でブラックユーモアに満ちた会話は、作品全体の暗く陰鬱なトーンの中で、不思議なリズム感と緊張緩和を生み出しています。
もちろん、彼女はただのコメディリリーフではなく、刑事として鋭く事件の真相に迫っていきます。
『みーまー』読者の感想レビューと評価まとめ
「傑作」なのか、それとも「合わない」のか。
本作の評価は、読者によって真っ二つに分かれます。
本作を読もうかどうか迷っている方にとって、実際に読んだ人のリアルな感想は重要な判断材料になるでしょう。
そこでこのセクションでは、「中毒になる」といった肯定的な口コミから、「読みにくい」という否定的な意見まで、様々なレビューを客観的にまとめます。
また、よく比較される「西尾維新っぽさ」の真相や、二人の関係性についての読者の解釈にも迫ります。
「傑作・中毒になる」肯定的な感想・口コミ
『みーまー』は「人を選ぶ」と前置きされながらも、熱狂的なファンからは「傑作」「名作」と絶賛されています。
その最大の理由は、他の作品では味わえない「中毒性」にあるようです。
肯定的なレビューで最も多く見られるのが、その独特な世界観と物語の構成への賞賛です。
特に、記事の核心にもなる「叙述トリック」と、その構成の巧みさ。
「騙された感覚が素晴らしかった」
「構成が素晴らしいと思う」
といった声が示す通り、ミステリとしての骨格がしっかりしている点が、多くの読者を唸らせています。
また、ヒロイン・まーちゃんの「狂気」も、本作の大きな魅力となっています。
ある読者は「美少女と狂気と凶器の組み合わせが好きなもので」と語っており、ただ可愛いだけのヒロインではない、その危うさが多くのファンを惹きつけています。
さらに、
「幸せとか不幸せとか、生とか死とか、純粋とか狂気とか、そういうのを考えるのが大好きな病を患ってる人におすすめ」
というレビューにもある通り、その「中二病」的とも言える哲学的なテーマ性。
これらが、イラストレーター「左」氏による美麗で儚げなイラストと融合し、
「心もいい具合に落ち込む」
「読むとちょうどよく落ち込めていい」
といった、本作ならではの強烈な読書体験を生み出しています。
「合わなかった・読みにくい」否定的な感想・口コミ
一方で、『みーまー』が「肌に合わなかった」という否定的な感想・口コミも決して少なくありません。
その理由は、肯定的な感想と表裏一体であり、主に「文体」と「雰囲気」の2点に集約されます。
最も多く指摘されるのが、主人公「僕」の語り口、いわゆる「入間節」です。
「独特の文体がクセになる」と評される半面、
「文章がとにかくひどい」「読みにくい」「目が滑る」
といった拒否反応が強く出ています。
シニカルな言葉遊びや、頻繁な脱線、軽妙すぎる会話劇が「奇をてらっただけ」「稚拙に感じる」と受け取られ、物語に集中できないという意見が目立ちます。
もう一つの理由は、作品全体を覆う「暗い世界観」です。
本作は「サイコサスペンス」であり、トラウマやグロテスクな描写も含まれます。
そのため、「全体的に暗すぎて辛かった」「気持ち悪い」といった感想を持つ読者もいます。
これらの要素は、ハマる人には強烈な「中毒性」をもたらしますが、受け付けない人にとっては最初の数ページで読むのを断念するほどの「障壁」となります。
まさに「人を選ぶ」という評価が、これほど似合う作品も珍しいでしょう。
読者は「みーくん」と「まーちゃん」の関係をどう見たか？
本作の根幹を成す、主人公「僕（みーくん）」とヒロイン「まーちゃん」の関係。
読者はこの二人の「歪んだ愛」を、どのように受け止めているのでしょうか。
多くのレビューで共通しているのは、二人の関係が「共依存」であるという認識です。
8年前のトラウマによって「壊れた」まーちゃんは、「みーくん」なしでは精神の均衡を保てません。
そして「僕」もまた、「嘘」をついてまで彼女の「みーくん」であり続けることに固執します。
この関係性を「ダークラブコメ」や「バカップル」と表現する声もあります。
客観的には破滅的で不幸に見えても、
「くだらない世界で壊れた二人が不幸ながらも互いを想い合い笑えるのなら、それも幸せなのかなあ」
と、二人だけの幸福の形を肯定的に捉える読者が多くいます。
「狂っていて壊れているけど純粋な愛の話」というレビューが、二人の関係性の本質を表しています。
もちろん、「それを愛と呼べるかどうかは疑問だけどね」という冷静な意見もあります。
しかし、世間一般の「普通」から外れた場所で、互いだけを必要とする。
その歪でありながらも純粋（あるいはそう見える）な絆の形が、本作の大きな魅力となっています。
「西尾維新っぽい」は本当？戯言シリーズとの違いは？
『みーまー』の感想を調べると、非常に高い頻度で「西尾維新っぽい」というキーワードに遭遇します。
特に、デビュー時期が近いこともあり、「戯言シリーズ」との類似性を指摘する声が大多数です。
この比較は、主に以下の2点に基づいています。
- 文体・会話劇：「僕」のひねくれた独白（モノローグ）や、言葉遊びを多用した軽妙な会話劇が、「戯言遣い（いーちゃん）」の語り口（西尾イズム）を彷彿とさせるとされています。
- キャラクター造形：「ひねくれた（嘘つきな）主人公」と「壊れた（異常な）ヒロイン」という組み合わせが、『戯言シリーズ』の「いーちゃん」と「玖渚友」の関係性を連想させると指摘されています。
では、単なる模倣（フォロワー）なのでしょうか。
この点についても様々な意見があり、
「戯言臭がすごい」
「パクリ寄りのフォロワー」
という厳しい評価がある一方、
「インスパイアされた作品」
「本家とはやりたい事が違う」
と分析する声もあります。
大きな違いとして挙げられるのは、ミステリとしての方向性です。
『戯言シリーズ』が（初期は特に）ロジック重視の「本格ミステリ」の側面も持つのに対し、『みーまー』はあくまで二人の「関係性」や「心理描写」が主軸となります。
ミステリ要素は「叙述トリック」に特化している、という見方です。
『みーまー』を「ダークな戯言シリーズ」と評する意見もあり、作風の好みは分かれるようです。
20代・30代の読者に刺さる理由とは
本作は2007年に刊行された、ゼロ年代のライトノベルを代表する作品の一つです。
そのため、現在20代・30代となっている読者層には、特別な思い入れを持つ人が少なくありません。
最大の理由は、「中学生・高校生の時にリアルタイムで読み、衝撃を受けた」という原体験です。
「中学生の絶賛中二病の時にはじめて読み、大学生になってまた読みたくなった」
「この本が青春でした」
といったレビューが示す通り、多感な時期にこの「暗黒ライトノベル」に触れた経験が、彼らの読書観に強い影響を与えています。
そして、彼らが大人になって「再読」することで、この作品は二度目の輝きを放ちます。
当時は「ヒロインの狂気」や「独特の文体の中毒性」に惹かれていた読者が、年齢を重ねて読み返すと、
「巧妙に仕掛けられた叙述トリックの構成」
「痛々しいまでの心理描写」
「幸福と不幸を問う哲学的なテーマ」
といった、より深い部分に感動を覚えるのです。
もちろん、大人になって初めて読む20代・30代の読者にとっても、本作の魅力は健在です。
「いまさら読んだけど面白すぎて男子中学生になってしまった」
という感想のように、その圧倒的な「ドライブ感」と「尖った」作風は、現代の作品にはない強烈な刺激（劇薬）として、多くの読書家を虜にし続けています。
作者・入間人間先生と作品情報
この「問題作」を生み出した作者・入間人間先生とは、一体どのような作家なのでしょうか。
また、『みーまー』シリーズは全何巻で、どのような順番で読むのが最適か、気になるところです。
そこでここでは、作者の経歴や独特な作風、シリーズ全巻のサブタイトル一覧を紹介します。
さらに、人気作『安達としまむら』との衝撃的なギャップや、映画版との違いについても触れていきます。
作者・入間人間先生の経歴と作風
本作『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』は、作家・入間人間（イルマ ヒトマ）先生の衝撃的なデビュー作です。
2007年に電撃文庫から刊行された当時、作者はまだ21歳だったとされています。
その若さで、ライトノベルの枠組みからはみ出すほどの「暗黒ライトノベル」と評される本作を生み出したことで、一躍注目を集めました。
入間人間先生の作風は、しばしば「入間節」と呼ばれます。
その特徴は、独特のテンポで進む軽妙な会話劇、シニカルな言葉遊び、そしてブラックユーモアにあります。
特にデビュー作である『みーまー』は、その傾向が顕著です。
読者レビューでは「西尾維新チック」「戯言シリーズのようだ」との指摘が非常に多く、同時代の作家から強く影響を受けた、ゼロ年代の鋭利な空気感をまとっています。
しかし、入間人間先生の真骨頂は、その文体の奥に隠されたテーマの重さにあります。
「幸せと不幸」「生と死」「正常と異常」
といった哲学的な問いを、容赦のない「グロテスクな描写」や「登場人物の狂気」を通して描出します。
近年では『安達としまむら』に代表される、少女同士の繊細な関係性を描く「百合小説家」としての側面が強いです。
しかし、その原点である本作には、読者を突き放すような「尖った」魅力と、構成で読者を「騙してくる」ミステリ作家としての技巧が凝縮されています。
『みーまー』は全何巻？完結済み？（全巻サブタイトル一覧）
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』の購入を検討する際、「シリーズが完結しているか」は重要なポイントです。
結論から言うと、本編シリーズは全11巻をもって完結しています。
本作は電撃文庫から刊行されていましたが、現在はメディアワークス文庫から「完全版」として、書き下ろし掌編などを加えて再編集されたものが刊行されています。
刊行から時間が経っているため、一部の読者からは「古本屋にも消失していた」という声もある通り、今から紙で集める場合は、この「完全版」を探すのが現実的でしょう。
本シリーズは、1巻の「幸せの背景は不幸」をはじめ、各巻に「中二の心をつついてくる」ような、象徴的なサブタイトルが付けられているのが特徴です。
参考までに、電撃文庫版の本編全11巻のサブタイトルを以下にまとめます。
- 第1巻 幸せの背景は不幸
- 第2巻 善意の指針は悪意
- 第3巻 死の礎は生
- 第4巻 絆の支柱は欲望
- 第5巻 欲望の支柱は絆
- 第6巻 嘘の価値は真実
- 第7巻 死後の影響は生前
- 第8巻 日常の価値は非凡
- 第9巻 始まりの未来は終わり
- 第10巻 終わりの終わりは始まり
- 第11巻 ××の彼方は愛
なお、この11巻が本編のメインストーリーとなります。
この他にも短編集や関連作品がいくつか刊行されていますが、まずはこの本編11巻から読み進めていくのが良いでしょう。
読む順番は刊行順がおすすめ
『みーまー』シリーズをこれから読み始める場合、読む順番は迷わず「刊行順（1巻から）」で読むことを強く推奨します。
なぜなら、『みーまー』は「叙述トリック」と「信頼できない語り手」を最大の魅力とするミステリだからです。
物語の根幹には、「8年前の事件の真相」や「登場人物の正体」といった巨大な謎が隠されています。
1巻から順に読み進めることで、読者は主人公の「嘘」に翻弄され、断片的な情報から徐々に「過去」の真相に迫っていく構成になっています。
シリーズ最大の仕掛けを最大限楽しむため、必ず刊行順（1巻から）で読むことを推奨します。
もし刊行順を飛ばして後の巻（特に物語の核心に触れる巻）を先に読んでしまうと、1巻から巧妙に仕掛けられた全ての伏線と「どんでん返し」が機能しなくなり、作品の魅力が半減してしまう危険性が非常に高いです。
ぜひ1巻から順番に、作者の仕掛けた「言葉の罠」に翻弄される感覚をお楽しみください。
実は映画化もされている？（原作との違い）
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』は、2011年に実写映画化されています。
監督は瀬田なつき氏、キャストは「みーくん」役を染谷将太さん、「まーちゃん」役を大政絢さんが務めました。
「映画を先に観た」という人や、「映画は好きだった」という声もレビューで見受けられます。
映画版も、原作の持つ「サイコサスペンス」の不穏な雰囲気や、「歪んだ」関係性を描いています。
ただし、原作をこれから読む、あるいは読んだ後に映画を観る場合、両者は「似て非なるもの」として捉えるのが良いでしょう。
最大の違いは、原作の核である「独特の文体（入間節）」と「信頼できない語り手（僕のモノローグ）」です。
映画では、この「文章」そのもので読者を騙す・混乱させるという叙述トリックの根本的な仕掛けを、映像で完全に再現することはできません。
あるブログ記事のレビューでは、
「心情の描写が細かい分やはり小説の方が楽しめた」
とあるように、小説版はより深く、執拗にキャラクターの内面（狂気やトラウマ）を掘り下げます。
映画版は、物語の「大筋」や「雰囲気」を映像で楽しむ作品。
小説版は、作者の仕掛けた「言葉の罠」にどっぷりと浸かり、「騙される快感」を味わう作品、という違いがあります。
同じ作者の「安達としまむら」とのギャップが凄い？
入間人間先生の作品に、本作とはまったく異なる作風で大ヒットした『安達としまむら』（通称「あだしま」）があります。
『あだしま』は、二人の女子高生の淡く繊細な関係性を描いた、いわゆる「百合」作品の金字塔です。
そのため、
「『安達としまむら』を読んでから、作者の過去作として『みーまー』に手を出した」
という読者も少なくありません。
『安達としまむら』から入った読者は、その「ギャップ」に衝撃を受けるため覚悟が必要です。
ある読者は、
「（『あだしま』など）前述の作品群とは全く異なる、殺伐とした世界観を前に、本当に同じ作者で、しかもこちらの方が先行作だったのかと驚愕した」
と語っています。
『あだしま』の穏やかで繊細な日常描写に対し、『みーまー』は「狂気」「サイコサスペンス」「グロテスクな描写」が詰め込まれた「暗黒ライトノベル」です。
レビューでは「すごく血なまぐさい」と評されるほど、作風は正反対です。
しかし、まったくの別物かというと、そうでもありません。
「シリアスな会話の中に漫才のようなやりとりを挟む入間節は随所に見られ、やはり同じ人の作品なのだと納得」
というレビューの通り、根底に流れる独特の「入間節」や、不器用なキャラクターたちの「歪んだ（あるいは純粋な）愛情」の描き方には、確かに共通点が見られます。
『みーまー』は、入間人間先生の「原点」であり、最も「尖った」作品と言えるでしょう。
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん あらすじ まとめ
この記事では、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』の第1巻「幸せの背景は不幸」について、核心的なネタバレを避けながら、その「あらすじ」と「狂気と愛のダークミステリ」としての魅力を解説しました。
記事のポイントを以下にまとめます。
本作は、その「尖った」内容ゆえに、間違いなく「人を選ぶ」作品です。
しかし、もしあなたが、「暗い世界観、歪んだ愛、独特の文体」に、むしろ魅力を感じる読者であれば、本作は他のどの作品でも味わえない強烈な読書体験を提供してくれるはずです。
「狂気」と「愛」、「幸福」と「不幸」の境界線を問う、唯一無二の「問題作」と言えるでしょう。
もし、この「狂気と愛のダークミステリ」と、作者が仕掛けた巧妙な「叙述トリック」の罠に挑んでみたくなったなら、ぜひ第1巻『幸せの背景は不幸』を手に取ってみてください。
多くの電子書籍ストアでは無料の「試し読み」も可能です。
まずはその独特な文体がご自身に合うか、最初の数ページで確かめてみることをおすすめします。
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